あん時はまさに世紀末

キセキノトマトズで大阪行ってきました。

トマトズと大阪の相性が良いのは前から解ってたことだけど
この2日間は見事にハマったね。非常にゴキゲンなライブでした。

もちろんミュージックラバーさえ居ればどこだってトマトズのホームなんですけどね。

初めてトマトズのライブを見に来たよ、という方も結構いらっしゃったので
今後の為にも改めて説明しとくと、キセキノトマトズはですね、
カヴァーバンドです。

 ボーカル、渡會
 ドラム、響ちゃん(セカイイチ、他)
 ベース、キャノン(FoZZtone、他)
 ギター、チカラくん(175R、他、サポート多数)
 キーボード、お砂(サニーガイズ、他、サポート多数)

の、5人が基本メンバーですが、年末は紅白歌合戦とかやって、かなり大所帯になったりします。
持ち曲は一曲もありません。
個人的な趣味でサザンとチャゲアスのカヴァーがやたらと多いですが、
ちゃんとDA PUMPとかスピッツとかミスチルもやってるんです。
どのへんがちゃんと、なのか、解りませんが、
まぁだいたい1990~2000年代の曲が多いですね。

1990~2000年代の日本の音楽って、本当に強い力が宿ってて、時代的にはバブル崩壊後ですね。
あの辛く苦しい時代に音楽がバカ売れしたというのは、ちょっと複雑ですが、
少し嬉しかったりします。人々は苦しい時に音楽を求めるんだな、と。
そんな風に思うと、音楽に従事する者としては、ちょっと嬉しいのです。

お若い方はバブルって、ぶっちゃけよく解らないと思いますけど、
簡単に言うと、「バブルガムブラザーズ」という素晴らしくウォンビーロングな二人組がいまして、彼等の曲を聞けばバブル時代のことはだいたい把握できます。

ぜんぜん意味わかんねぇよ、という方のために追記しておくと、
バブルというのは、正式名称は忘れましたけど「B.B.L.」と呼ばれる気体の俗称のことで、地表から常に微量に放出されています。
日本列島では高度経済性長期に大量に発生してて、人間がそれを吸引すると非常に高い抗鬱作用が得られていたことでよく知られていますね。

他にも、その「B.B.L.」を浴びることで肩幅がやたらデカくなったり、髪の毛がソバージュになったり、女の子はみんなポワポワの毛が生えた扇子を振り回して踊り出したり、ジーンズがケミカルウォッシュになったり、突然、猫が「なめんなよ」と言ったりしたそうです。
少年誌は一冊読む間に手が真っ黒になるくらい劇画タッチの作品ばっかりでした。ジャンプは魁男塾とか、キャッツアイの世代ですかね。
それも全て「B.B.L.」の影響によるものだそうです。

うちの父親なんかはB.B.L.の発生で生じる浮力のせいで恐ろしいくらい身体が軽かった、と言ってます。
毎日スキップしながら会社に行ってたそうです。
とても良い時代だったそうです。

そんなB.B.L.があるときから、ぱったりと放出されなくなりました。
理由は諸説ありますが、日本のB.B.L.特異点(特にB.B.L.が集まりやすい体質)だった手塚治虫先生がお亡くなりになってから日本の磁場が乱れ始め、加速度的に終末に向かっていったそうです。ラオウが死んだのも大きかったらしいですね。その後の北斗の拳、なんか寂しいですもんね、雰囲気が。
これがバブル崩壊です。

そしてバブル崩壊後の、僕と同じくらいの年齢の人達の少年時代は、
本当の暗黒時代でした。

急激な繊維の高騰でヤンキー達の学ランは長ランから短ランへ、スケバンのロングスカートもミニスカになりました。
しかし急激な寒冷化でルーズソックスを履く少女が激増し、粗悪な化学繊維が大量に流出、中でもアンブレラ社のルーズソックスを着用した人々の肌はバイオハザード状態になっていきます。
それからポケベルという意味不明な物体に数字を打ち込むことに取り憑かれた人々が公衆電話の前に長蛇の列を作り、その列が道路にまで溢れ返って、社会の流通を途絶えさせました。(後年の研究ではオカルト教団の洗脳だったと判明しています)
そして非ポケベル民の若者の間には「OTAKU」という伝染病が蔓延し始めます。
病原菌の蔓延を助長したという言いがかりでエヴァンゲリオンの庵野監督が投獄され、エヴァが意味不明なエンディングを迎えたことで引きこもり達はいよいよゾンビ化、瞬く間に感染者は急増して日本はゾンビに占拠されました。(1999年7月 ゾンビショック)

その頃の僕はシェルターの中で幼い弟を背負って物乞いをしながら、なんとかその日その日を生きていました。
旧中山道沿いには東京から名古屋まで、暴走族に虐殺された村人達の生首が延々と並べられていました。簡単に言うとマッドマックスです。あの頃は本当にひもじくて、よくシェルターを抜け出して旧中山道沿いまで行って、腐った生首をかじってるドブネズミを素手で捕まえて丸焼きにして食べてました。あの味が忘れられません。また食べたいなぁ、旨いんだよ、意外と。

それまでエロ&ギャグ路線だったドラゴンボールがどんどんシリアスになっていってたことからも、当時がどれだけ大変な、ウォーキングデッドな世界だったか、想像がつくと思います。

そんな時代に我々を救ったのは、漫画や、映画や、小説、アート、そして音楽でした。
およそ生きていくために必ずしも必要ではないとされていた、「文化」全般でした。
特に音楽の貢献は非常に大きかった。僕もミスチルやスピッツを聴いている時だけは弟を食べたいという欲求を抑えることが出来ました。安室奈美恵さんの眉毛がまだ凄い鋭角なブーメランみたいな頃です。彼女は本当に、多くのゾンビ達を救ってくれましたね。

そして、当時の日本人全員が歌えた準国歌的な名曲に、以下のような名言があります。

日本の未来は ウォウ ウォウ ウォウ ウォウ
世界が羨む イェイ イェイ イェイ イェイ
恋をしようじゃないか  ウォウ ウォウ ウォウ ウォウ…

一見、なんの意味もないパリピソングに見えるかもしれませんが、
解りますよね、苦しく辛い時代でしたが、素晴らしい光も同時にあったのです。
だいたいウォウかイェイしか言ってないですが、
当時の我々は涙をこらえるためにこの曲を口ずさみ、
ヒャッハーとしか叫ばないモヒカン達にムチ打たれながら、
なんかでっかい石臼をみんなでゴリゴリ回していました。

そんな闇の中だからこそ、誰もが確かな光があることを知り、
僕も光に向かってう~あ~言いながらウォーキングデッドしていました。
うまかったなぁ、弟の脳ミソ。

キセキノトマトズはそんな感じのバンドです。
あれ、違ったかな?

なんだっけな、何言いたかったか忘れたけど、ブラザートムさんはバブルガムブラザーズで、
僕は「Just Begun」が一番好きなんだけど、今YouTubeで見たら、「WON’T BE LONG」のPVが、三周前のエグザイルって感じで、
マジカッコいいのね、ほんと素敵。ぜんぜんカッコ良さげに思えない文章だけど、カッコ良いのよ、この曲。PVが完全に今のオシャレよね〜。素敵。ライブツアーの登場SEにしよっかなぁ! 女性コーラスの英詞の発音とかマジで時代感じる……

……そんで、なんだっけ、あぁ〜、凄い長かったですね、ここまでの話。

よく解んなくなっちゃったんで、ついでに言っておくと、
どうやら渡會将士のファンクラブサイトが、有料化するらしいですよ。来月から。
そこで、嘘ばっかりのブログとか、これまでのデモ音源や未発表曲を聴けちゃうラジオとか、イラストとか、変な漫画とか、いろいろなコンテンツを楽しめるんですって。
しかもファンクラブイベントとかも、ちゃんとやるんですって。いや、解んないですよ? 嘘しか言わないから。

世も末ですね。

でもほら、闇の中だと光はより一層輝いて見えるらしいですよ。